大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(オ)908号 判決 1954年2月11日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人本人の上告理由について。

再審の訴は当事者が判決確定後再審の事由を知つた日から起算して三〇日の不変期間内に提起しなければならないものとされ(民訴四二四条一、二項)、しかも、判決確定後五年を経過すれば、当事者が再審事由を知ると否とを問わず、またそれを知つた日の如何を問わず、もはやこの訴を提起し得ないものとされている(同条三項、なお民訴四二五条参照)。尤も再審の事由が判決確定後に生じた場合においては右五年の期間はその事由発生の日から起算さるべきものとされている(同四二四条四項)。これは当事者間の争訟に対して確定力を有すべき裁判によつてこれが解決を与え、以てその法的生活の安定をはかろうとする訴訟目的の要請に応じて、確定判決の効力を動かそうとする再審の訴につきその適法要件として認められた時間的制限に外ならない。従つて判決確定前既に生じていた事由に基ずく再審の訴がその確定後五年を経過して提起された場合にあつてはその事情の如何を問わず不適法として却下されることを免れない。記録によれば本件再審の事由が再審の対象である大津地方裁判所昭和一五年(ワ)第五九号事件の判決の確定した昭和一六年一二月二六日前に発生したものであることは上告人の主張自体に徴して明白であり、しかも本件再審の訴が右判決の確定後五年以上を経過した昭和二五年四月二六日提起されたものであることを認め得るのである。それ故たとえ所論のような事情があつたとしても本件再審の訴を不適法として却下した第一審判決を是認した原判決には所論のような違法はなく、論旨は採るを得ない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例